【キャラデザのやり方】学生さん必見!『ゲームの世界に転生した俺が〇〇になるまで』1巻メイキング(前編)

イラストレーターのしまエナガです!
この度、藤原チワ子先生原作の『ゲームの世界に転生した俺が〇〇になるまで』第1巻がKADOKAWAルビー文庫様より出版されました!
私、しまエナガが表紙・挿絵・キャラクターデザインを担当させていただいています。
\本日発売!/#藤原チワ子 先生『ゲームの世界に転生した俺が○○になるまで 1』は絶賛発売中
— 角川ルビー文庫 編集部 (@rubybunko) March 31, 2023
美貌の少年王×無自覚美人の転生者
ゲームで身につけた生産職スキルを駆使し、美しい少年王と共闘!? そこで芽生えた感情とは?
美しいカバーは #しまエナガ 先生が担当https://t.co/5uwFkInZtI pic.twitter.com/bYTL9B9Rgf
下が完成したイラストです。第1巻の表紙になりました。
完成するまでの工程をイラストたっぷりで大公開しちゃいます!


キャラデザのコツが知りたい人、学生さん必見の内容です!
キャラクターデザインの制作フロー
キャラクターデザインは以下の手順で進めていきます。
原作の設定や、キャラクターに関する要件を確認
キャラデザと服飾の方向性を決定
手描きで構図を複数考案
構図ラフを元にClip Studioで描画
ラフを元に完成に向けて描画
まずは「要件の確認」と「世界観設定と参考画像の調査」をしっかり行いましょう!
この点に時間を割くことで説得力のあるキャラクターデザインが出来ます!この行程をスキップしてしまうと後々迷いが生じたり、クライアントとの認識にズレがあると作業のやり直しに繋がり、納期が遅れてしまいます。
また、フローチャートでは省略していますがクライアントさんに適宜進捗状況を共有してフィードバックを受けるのが一般的です。
自主制作や同人活動においては一人で完結するのが通常ですが、お仕事においてはクライアントさんと話し合いながらお仕事を進めましょう!
この度のKADOKAWA様とのお仕事でも、共有→フィードバック→修正という流れを繰り返すことでイラストが完成しました。

クライアントさんと一緒に完成まで進めるのが一般的ですね
キャラクターデザインの実践
①要件の確認
まずは原作読みからスタートです。物語の流れと世界観設定をよく脳裏に焼き付けます。
主人公のカリヤは長髪でエメラルド色の瞳、山岳地帯の少数民族という設定が明らかになりました。これらはキャラデザの重要なヒントになります。
同時にKADOKAWA様より制作における要件もご共有いただきました。
②世界観設定と参考画像の調査
カリヤは山岳地帯の少数民族で、貧しい家柄の生まれです。
そんなキャラクターにマッチしたデザインを調査します。主にインターネットを駆使して10~30枚程度のリファレンス(参考画像)を用意し、衣装の特徴をつかみます。
山岳地帯の少数民族という設定からチベットの民族衣装をよく研究しました。
おおよその特徴がつかめたら構図ラフに進みます。
③構図ラフの描画

これはスケッチブックに描いたカリヤの初期設定のラフです。
完成したイラストのカリヤは長髪を白い布でひとつ結びにしていますが、この時点では編んだ髪やフードで頭部を隠すアイディアもありました。

スケッチブックのラフを元にして構図ラフを複数制作します。
クライアントさんからはこの後の展開の壮大さや物語の舞台の広さを表現してほしいという要望があったため、熟考の結果④の構図を採用することに決めました。
④ラフの描画
「①要件の確認」「②世界観設定と参考画像の調査」「③構図ラフの描画」と進んだら、本格的な「④ラフの描画」に入りましょう。下がClip Studioにて制作したラフです。


このクオリティでラフなんですか!?

KONAMI時代はこのクオリティのラフが求められてました!
しばしば、クライアントさんから驚かれますが、ゲーム会社時代にはこれ以上のクオリティのラフ提出が要求されていました。ハイライトの当たり具合などまで描き込んでいますが、どこまで描き込むかは自由に決めていいと思います。
ただし、ラフを描き込んでおけばクライアント側も完成をイメージしやすいですし、清書で迷うことがないので、しっかり描き込んでイメージを固めておくのがオススメです!
キャラデザと構図はラフでほぼ完成です。
今回の構図のポイントとしては、これから待ち受ける過酷な運命に勇敢に立ち向かう主人公を表現するため、下からのアングルで目線の先を見据える構図にしました。
また、主人公の武器である黄金の弓を手にしています。
⑤イラストの清書

ラフを元に完成させます。
今作は赤色をテーマカラーとしているので、腰帯や風に舞う花びらに赤色を付与しました。
背景の布にはブラーをかけることで奥行き感や広さ、動きを表現しています。
服の袖と弓に金色を加えることで全体の色合いの調和を図りつつ、ファンタジー世界の雰囲気も付与しています。
このバージョンが最終的に採用され、『ゲームの世界に転生した俺が○○になるまで』の第1巻の表紙を飾ることになりました。
【おまけ】幻のバージョン
採用されなかったバージョンのラフをご紹介したいと思います!

不採用の経緯として服装が少々アラビア風である点や軽装であった点が挙げられます。
躍動感あるこちらのバージョンもお気に入りでしたが担当さんと相談の結果、不採用となりました。
しかしながら、こちらのキャラデザも今後の創作活動へのインスピレーションを得る良い機会になったと思っています!
さいごに
キャラクターデザインにおいて重要なことは、しっかりと原作を読んだり、世界観の勉強をすることから始めることです。

キャラデザの調査は文化や歴史の勉強にもなります。
いきなりゼロからキャラクターを描き始めると手が止まってしまうため、調査にはたっぷり時間をかけましょう。構図ラフ→ラフ→清書という工程を踏むことで、テンポ良く制作を進めることが出来ますよ!
次回は複数キャラクターの描き分け方のコツについて紹介します!
良ければ続けて読んでみてください。

また、今回取り上げた『ゲームの世界に転生した俺が○○になるまで』第1巻が絶賛発売中です!Amazonレビューは驚異の4.9/5.0となっており、早く次が読みたくなる展開にはハラハラドキドキです!宜しければお手に取ってみてくださいね!
2023年6月1日には2巻も発売されます。
もちろん表紙と挿絵は私が担当しています!こちらもぜひお楽しみに!